教えないからこそ、人は育つ

研修講師という『教える』仕事をしておきながらなんなんですが・・・^^;

実は、教えると人は育たないと考えています。


なので、僕が主催している社員塾(スター社員養成講座)も、

自主開催で行うセミナーでも、できる限り教えないで、

「こんな考え方もありますよ」という姿勢でお伝えするようにしています。


こども達に対しても同じです。

答えの導き方ではなく、

考え方や捉え方を伝えるようにしています。


だって、教えちゃうと『考える力』が育ちませんし、

教えたことをそのまんまやらせたら、

結果についても責任を取らなくなっちゃうんですもん。


というわけで、『人を育てる』ことは、

『教える』という行為によっては

実現し得ないことなんじゃないかなと思うのです。


で、購読している天外伺朗さんのメルマガ『天外レポート』に、

その内容が記載されていましたので、ご紹介しますね。


ご興味がある方はめちゃめちゃ長いですが、お読みください。


↓以下内容

 天外レポート No.89(2015.06.24)

 『教えないから人が育つ・横田英毅のリーダー学』

(講談社)という本を以前に書いた。

 一般には、人を育てるために一生懸命に教えようと

するが、ネッツトヨタ南国では全く逆に「教えない」

ということが、企業文化の一つになっている。

 「教えないと、どうして人が育つのか?」

答えは簡単、「自分で考えるようになる」からだ。

まいにち餌を与えられている動物園の動物は、

自分で餌を獲得する、という能力を失うので野生に

戻しても生きてはいけない。

 「教えない」という企業文化は、自分で知識や

ノウハウを獲得する「野生のバイタリティ」を身に着けて

もらうための環境だ。

 動物園の動物が野生では生きていけないように、

「野生のバイタリティ」がない人はネッツトヨタ南国では

落ちこぼれてしまう。

 それを防ぐのが、30-120時間を費やす入社面接だ。

多くの社員が面接し、「生きる力」を見極めるのだ。

有名大学を優秀な成績で卒業してきても、「生きる力」が

弱ければネッツトヨタ南国には入れない。

 また、長時間の面接や実習を通じて、入社希望者も

企業文化に触れ、自分に合っているかどうかを判断できる。

 「教えない」という企業文化は、時間、エネルギー、

コストを要する丁寧な入社選別に支えられている。

 普通は、失敗をさせないように教えるのだが、「教えない」

ということは、「失敗」の危険性と隣り合わせであり、「失敗を許す」

という寛容さが必要だ。

失敗を叱るということは、許していることにならない。

「失敗を許す」ということは、「叱らない」という企業文化

でもある。

 以前、2006/2007年とリーグ優勝した日本ハムを率いた

ヒルマン監督は、ネッツトヨタ南国と同じく

  「叱らない。教えない。やらせない」

というマネジメントスタイルを貫いたが、選手がエラーをしても

「Nice Try!」と激励し、絶対に叱らなかった。

 エラーした選手も奮起して、次のプレーで頑張ろう、

という気になる。チーム全体もますます燃えてくる。

 

 普通は選手がエラーをすれば、「なにやってんだ!」と

罵声が飛び、選手は委縮し、チームのムードが悪くなる。

 たった一つのエラーで、もうそのチームは勝てなくなる。

皆は勝てなかったのはエラーのせいだと思うが、それは

間違い。勝てなかったのは、監督の罵声のせいだ。

 教えないで失敗を許していたら、お客さんが激怒する、

というシーンも当然あり得るだろう。これは客商売では、

とても怖いことだ。

 ネッツトヨタ南国では、その場合でも担当者に尻拭いを

まかせる。土下座をして謝っていたらもう一台売れた、

というケースもあるようだ。

 尻拭いがうまくいけば、その人は急激に成長する。

失敗や尻拭いを体験させることが、人が育つ最大の

方法論なのだ。

 ただしこれは、失敗が命や傷害に結び付く業種では

適用できない。

 ネッツトヨタ南国では、尻拭いにあまり上司は関与しない。

それとは逆に、天外塾の塾生の会社の中には、ユーザークレーム

に必ず社長か前社長が対応するという企業文化もある。

 この場合にも「叱らない」というポリシーは徹底している。

 ユーザークレームに対して、担当者を叱ってしまうと、

会社の体質改善や人育てに大切なユーザークレームが上に

上がって来なくなり、企業は破綻に向かうという。

 自分のミスを一言も叱らず、ひたすらユーザーに頭を下げる

社長の姿を見れば社員は発奮し、大きく育つ。

 これも、人を育てる一つの方法論だ。

 この場合には、社員はミスをしても何をしても、自分は

受容されていると感じる。私はそれを「無条件の受容」と

名付けた。これも、人を育てる重要なキーワードだ。

 いまから90年以上昔の話だが、A.S.ニイルという人が

イギリスに、今でいうフリースクールのような学校を設立した。

 すると、イギリス中から手におえない子供たちが続々と

集まってきた。

 嘘をつくし、盗みもする。乱暴で破壊行為をし、すぐに切れる。

「小さな悪魔のようだった」とニイルは述懐している。

 その悪魔のような子が半年もすると、天使のような幸福な子に

変容する。その秘密が「無条件の受容」だ。 

 ニイルがとった方策は、一切の指導・叱責をせずに、子どもを

盗癖や破壊癖まで含めて丸ごと受容するのだ。

 盗むたびに賞金を出したり、ニイル自身が子供と一緒に盗みに

入ったり、学校の窓ガラスを割ったりといった、かなり極端な

行為も行った。

 「無条件の受容」を受けると子どもが変容する、というのは

深層心理学で裏付けられている。

 ただし、「無条件の受容」は子どもの悪辣な行為に対して、

嫌悪感を抱かぬほど意識のレベルが高くないとできないので、

誰でもできるわけではない。

 「失敗を許す」、「叱らない」というのも、「無条件の受容」が

できていれば、むしろ当たり前の態度になる。

 上記の書籍では、ネッツトヨタ南国の創業者、横田英毅さんが

幼少期におじいちゃんから「無条件の受容」を受けており、それが

特異なマネジメントに結実した、という推論を書いた。

 上記のヒルマン監督のマネジメントの最後の項目「やらせない」

というのは、上からの指示命令がなく自分の行動は自分で決める

という事だ。

 野球なら練習を強制しないし、企業なら仕事は自分で見つける。

上司はすべてを下に任せる度量が要求される。

 これは「フロー経営」の中心課題であり、やはり経営者の

意識レベルの高さが要求される。

 葛藤が強い経営者は、それを戦いのエネルギーに昇華して

企業を引っ張ってきた。管理型のマネジメントなら、戦いの

エネルギーで推進できるが、そのままでは、なかなか

「フロー経営」には移行できない。

 それは、葛藤が強いと「自分が先頭に立って戦っていないと

精神が不安定になってしまう」からだ。

 そういう経営者は、最初に「うちはぼんくらが多いから

まかせてもうまくいかない」という反応を見せる。「まかせて

失敗する」という不安を口にするのだ。

 ところが、瞑想などを通じて自分の内面を見ていくと、

「まかせてうまくいったら大変だ」という不安があることに気づく。

自分が関与しないでうまくいってしまうと、自分の存在意義に

キズが付く、という不安だ。

 そこまで気付きが進むと「フロー経営」は間近だ。

 「人が育つ」という意味では、自主性に任せる「フロー経営」

は必須だ。

 ネッツトヨタ南国の会議は多数決をしない。結論を出すこと

が会議の目的ではないのだ。すべての人が発言し、吟味し、

すり合わせることによって人間として成長することを目的としている。

 ただし、成長が期待できるデイスカッションは、全員が装うことなく

マインドがオープンになっていなければ効果がない。

 

マインドがオープンになっていれば、全員の意識は

「問題解決」の方向に収束し、多数決をしなくても

結論が一つにまとまることが多い。

 天外塾では、そういう議論の進め方をお伝えしている。

 ネッツトヨタ南国の若い人たちと話していると、「職場の仲間に

支えられた」という経験談が多い。仲間意識が強く、公私ともに

濃い人間関係が築かれている。

 これも「人の成長」にとって、とても大切な要素だろう。

 以上、社員が成長するための組織やマネジメントの要諦について

お話した。

 これらはすべて「フロー経営」の要素だし、「ホワイト企業への道」

の一部だ。

 成長を実感できた社員は幸せだし、そういう社員に満ちた企業は

業績もいい。

 ここに書いたようなことを少しずつでも実行していけば、あなたの

会社も「ホワイト企業」に近付くことも夢ではない。

 マネジメントの道は、果てしない希望に満ちている。

以上ここまで。


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http://www.officejk.jp/category/1327014.html


最後にお知らせです。

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6月28日(日)13:00〜16:00 コピーマック高松店

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